学科30問・実技20問のCBT選択式という形式を確認し、自分の職種区分の公式テキストで専門工事と資格区分を学び、寸法計算や作業指示の場面判断の練習で知識を使える形に固めることが、この試験の準備の中心です。
1号評価試験の役割と位置づけ
建設分野で特定技能1号の在留資格を目指す人が受ける評価試験で、合格に加えて日本語試験の合格が必要と案内されています。
建設分野における特定技能外国人の受入れ制度は平成31年4月に始まり、現在3つの区分で特定技能評価試験が実施されています。建設分野の1号評価試験は、JAC(建設技能人材機構)が、国土交通省が定めた「建設分野特定技能1号評価試験実施要領」に従って、学科試験と実技試験で行います。
特定技能1号の在留資格を取得するには、この評価試験の合格に加えて日本語試験の合格が必要です。つまり合格は必要条件の一つであり、合格だけで在留資格が自動的に決まるものではありません。受入れ制度全体については、JACサイトの「特定技能外国人受入れ」の案内を確認してください。
出典: 建設分野特定技能評価試験|建設技能人材機構【JAC】 — 試験概要・勉強資料・試験実施情報(https://jac-skill.or.jp/exam/)
出題形式と合格基準:学科も実技もCBTの選択式
学科は30問・60分、実技は20問・40分で、どちらも真偽法(○×)と2〜4択式のCBT方式、合格基準は学科・実技それぞれ合計点の65%以上です。
「CBT方式」とは、試験センターのコンピュータで受ける方式のことです。ここで確認したいのは、実技試験も現場での実作業ではなく、画面に表示される問題に答える筆記型の試験だという点です。出題形式は学科・実技とも真偽法(○×)と2〜4択式です。
「実技」という名前から、機械操作や実際の施工を課されると思い込む人がいますが、1号の実技は知識と判断を問う選択式の問題です。公式サイトには「CBT操作体験版」が用意されているので、受験前に一度動かして画面操作に慣れておくと安心です。
申込みはプロメトリックのウェブサイトで行います。日本国内試験の開催日や会場など詳細は、JACの試験ページの案内を確認してください。
| 試験 | 問題数 | 時間 | 出題形式 | 実施方法 | 合格基準 |
|---|---|---|---|---|---|
| 学科試験 | 30問 | 60分 | 真偽法(○×)および2〜4択式 | CBT方式 | 合計点の65%以上 |
| 実技試験 | 20問 | 40分 | 真偽法(○×)および2〜4択式 | CBT方式 | 合計点の65%以上 |
出典: 建設分野特定技能評価試験|建設技能人材機構【JAC】 — 試験概要・勉強資料・試験実施情報(https://jac-skill.or.jp/exam/)
3つの区分と公式テキストの使い方
試験は「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分で行われ、区分ごとに学科テキスト1〜4、実技テキスト5〜7とサンプル問題が用意されています。
まず自分の仕事に近い区分を一つ選び、その区分の教材に絞って学習します。教材は学科テキスト1〜4、実技テキスト5〜7と、各2回分のサンプル問題です。区分ごとに教材が分かれているのは、試験範囲が区分ごとに設計されているからです。出題範囲の全容は、この公式テキストで確認するのが確実です。
試験は日本語で行われます。公式サイトには日本語版に加えて、英語・インドネシア語・ベトナム語など多くの言語に翻訳した参考資料、さらにページ数を圧縮した学習用テキストが用意されています。翻訳版は参考資料なので、本番に向けては日本語で読み解く力を育てることが大切です。
学習の進め方の一例(任意の工夫です)として、日本語版で本文を読み、意味が取れない用語だけ多言語版の同じ箇所で確認する方法があります。専門用語を日本語のまま理解できるかが、本番の読解力に直結します。
- 手順1:受験する区分(土木/建築/ライフライン・設備)を決める
- 手順2:学科テキスト1〜4を日本語で読み、専門用語を書き出す
- 手順3:意味が曖昧な用語は多言語版の同じ箇所で確認する
- 手順4:サンプル問題2回分解き、間違えた箇所をテキストに戻して確認する
- 手順5:直前期は圧縮版テキストで全体をさっと見直す
出典: 建設分野特定技能評価試験|建設技能人材機構【JAC】 — 試験概要・勉強資料・試験実施情報(https://jac-skill.or.jp/exam/)
学科テキスト3の要点:工事の種類と専門工事
建設工事は土木・建築・ライフライン・設備の3つに大きく分かれ、各専門工事の「目的と材料・機械」を押さえることが学科の土台になります。
学科テキスト3は、建設工事の種類と各専門工事の仕事を説明しています。例えば鉄筋工事は、コンクリートで覆われた構造物の内部にある「骨」を作る仕事です。鉄筋は標準で12m以下の長さに作られるため、足りない場合は2本をつなぐ「鉄筋継手工事」が必要になり、つなぎ目の強度は建物全体の強度に関わる重要な作業とされています。
継手には、接合部を加熱して軸方向に圧力をかけるガス圧接、アーク溶接による溶接継手、カプラーという部材を使う機械式継手、細い鉄筋に用いられる重ね接手などの種類があります。型枠工事では、コンクリートが枠の内側から大きな圧力をかけるため、外側から鉄製パイプで支える「支保工」で補強します。支保工が十分でないと、打設中や硬化中に型枠が壊れてコンクリートが流れ出す「パンク」が起こります。
コンクリート圧送工事では、打ち込み中に巻き込まれた空気を、バイブレータで振動を与えて除く「締固め」が重要で、ポンプの操作、ホース先端の操作、締固めの3者が協力して作業を進めます。ほかにも、足場を作る「足場とび」をはじめとするとび工事、ウレタン・FRP・シート・アスファルト・シーリングの5種類に分けられる防水工事、感電事故を防ぐため作業前に通電・停電の連絡と検電などの安全確認が必要な電気工事など、工種ごとの特徴が説明されています。
学習では、各工種について「この工事は何をするためのものか」を一文で言えることを目標にすると、似た工種の混同を防げます。
出典: 建設分野特定技能1号評価試験 学科テキスト3 — 第3章 建設工事の種類と業務/建設工事に必要な資格; 建設分野特定技能1号評価試験 学科テキスト4 — 第4章 建設現場で使われるあいさつ・用語・共同生活上の注意
安全衛生の区分:免許・技能講習・特別教育
建設現場には、別の免許、技能講習、特別教育などが必要な作業があります。特定技能評価試験に合格することと、特定の機械を操作できる条件を満たすことは別です。
学科テキスト3は、建設工事には免許が必要な作業や、技能講習・特別教育を受けていないと行えない作業があると説明しています。技能講習は各都道府県労働局に登録された機関が実施し、修了すると修了証が発行されます。特別教育は、危険または有害な業務に労働者をつかせる場合に行う教育で、社外で受講する方法と社内で実施する方法があります。
ここで大切な確認です。特定技能評価試験の合格は、これらの資格の代わりにはなりません。例えば電気工事では、電気工事士の資格を持っていないとできない作業が多くあります。試験の学習では区分を判断できることを目指しますが、実際に業務に就く前には、必ず必要な資格・教育を別途確認してください。
練習問題
【オリジナル確認練習】作業指示書には「この機械は所定の資格・教育を確認した作業員のみ操作できる」とあります。あなたは建設分野特定技能1号評価試験に合格していますが、その機械に必要な資格・教育をまだ確認していません。「試験に合格したので操作できる」と判断してよいですか。
解答を見る
いいえ。操作を始めず、必要な資格・教育と自分の修了状況を職長などに確認します。
技能評価試験の合格は、個別の資格・教育の代わりにはなりません。機械や作業の条件に応じて確認が必要です。問題文の「確認した作業員のみ」という条件も、まだ満たせていません。
現場の用語とコミュニケーション
墨出しや遣り方の用語、報告・連絡・相談(ほうれんそう)の習慣を理解することが、学科の用語問題と現場でのコミュニケーションの両方に役立ちます。
学科テキスト4は、現場で使われる用語と共同生活上の注意を説明しています。墨出しは地面などに工事の基準線を引くことです。基準となる水平・垂直な直線を「基準墨」、中心を通る線を「通り芯」、水平の基準高さの墨を「陸墨」と呼びます。建物の高さの基準点は「BM(ベンチマーク)」で表し、これより高い位置は「+」、低い位置は「−」の数字で示します。
コミュニケーションの基本は「ほうれんそう」です。報告・連絡・相談を組み合わせた言葉で、話したいポイントを絞り、結論を先に言うことが勧められています。朝の挨拶「ご安全に!」、危険を感じたときの「危ない!」という声かけ、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの「5S活動」、半袖・短パンや袖まくりをしないといった服装の注意も、テキスト4で説明されています。
図面や寸法の理解も現場の基本です。次の練習問題で、縮尺の読み方を確認してみてください。
練習問題
縮尺1/100の平面図に、墨出しの基準となる長方形の部屋が描かれています。図上での長さは40mm、幅は25mmです。この部屋の実際の長さ・幅・床面積を求めてください。単位まで書いてください。
解答を見る
実際の長さは4m、幅は2.5m、床面積は10m²(10平方メートル)です。
縮尺1/100は、図上の1mmが実際の100mm(0.1m)を表します。したがって長さは40mm×100=4,000mm=4m、幅は25mm×100=2,500mm=2.5mです。面積は4m×2.5m=10m²。図面の寸法(長さのこと)を読み取るときは、必ず縮尺を確認してから計算します。単位を最後まで書くことが、試験でも現場でもずれを防ぎます。
- 基準墨:建物を建てるときの基準となる水平・垂直な直線
- 通り芯:中心を通る線(壁芯・柱芯を指すこともある)
- 陸墨:水平を表す基準高さの墨
- BM:敷地や建物の高さの基準点
- ほうれんそう:報告・連絡・相談。結論を先に伝える
判断の練習:作業指示の前提を確認する
判断問題では、「作業を始める前に何を確認すべきか」を、指示書の内容と現場の状況から読み取る練習が役立ちます。
現場の判断で大事な視点は二つあります。一つは、指示書や手順書に書かれた前提条件が満たされているかを確認すること。もう一つは、自分や周囲の人に危険が及ぶ状態がないかを察知することです。電気工事の説明でも、作業前に通電・停電の連絡を確実に行い、充電部分では検電などの安全確認が必要とされているように、「始める前の確認」が繰り返し登場します。
何かおかしいと感じたときの基本動作は、作業を止めて報告することです。報告・連絡・相談の習慣は、判断に迷ったときのよりどころになります。次の問題で、この動きを確認してみてください。
練習問題
あなたは現場で「高所作業の養生シート張り」を指示されました。書面の作業指示には、「作業を始める前に、落下物のおそれがある隣接区域を立入禁止の囲いで隔離すること」と書かれています。現場に行くと、囲いは設置されておらず、下の通路を人が歩いています。この場面でどう動きますか。最もよいものを選び、理由を説明してください。 ア. 気をつけて作業を始める イ. 声をかけて通る人に注意すれば、囲いがなくても始められる ウ. 作業を始めず、職長に囲いがないことを報告し、指示を待つ
解答を見る
ウ。作業を始めず、職長に囲いがないことを報告し、指示を待ちます。
指示書は「囲いの設置」を作業開始の前提条件としています。前提が満たされていないまま始めると、落下物を防ぐ対策のない状態での高所作業になり、通路の人にも危険が及びます。声かけや注意は、囲いという対策の代わりにはなりません。現場では、異常を感じたら作業をやめて報告・連絡・相談することが基本とされています。この練習は書面での判断力をつけるためのもので、実際の現場では必ず職長などの指示と適用されるルールに従ってください。
出典: 建設分野特定技能1号評価試験 学科テキスト3 — 第3章 建設工事の種類と業務/建設工事に必要な資格; 建設分野特定技能1号評価試験 学科テキスト4 — 第4章 建設現場で使われるあいさつ・用語・共同生活上の注意
学習の仕上げと受験前の確認
自分の区分の公式テキストを読み、サンプル問題で間違えた内容を復習します。受験前には、JACから案内される最新の申込先と会場の情報を確認してください。
このガイドで扱ったのは、工事の種類、用語、資格・教育の区別、寸法の読み取りと作業開始前の判断です。全範囲を終えたことにはならないので、学科・実技の残りの公式テキストも確認しましょう。
試験の申込みと合格証の手続はJACの最新案内に従います。教材を読むことに加え、公式のCBT操作体験版で画面の使い方も確認しておくと、当日の操作に迷いにくくなります。
- 受験区分(土木/建築/ライフライン・設備)を決める
- 評価試験に加えて必要な日本語試験について、公式案内を確認する
- プロメトリックのサイトで申込みし、CBT操作体験版で画面操作に慣れる
- 最新の受験案内で会場と当日の流れを把握する
- 合格後は公式ページから合格証を申請する
出典: 建設分野特定技能評価試験|建設技能人材機構【JAC】 — 試験概要・勉強資料・試験実施情報(https://jac-skill.or.jp/exam/)
出典
事実確認:
