自動車整備分野の特定技能1号試験は、学科30問・60分と実技の判断等試験3課題・20分です。合格基準は学科65%以上、実技60%以上です。ここでは1号を中心に、測定値と基準値の比較、基礎的な電気計算、安全確認を練習します。2号の形式や要件は別に確認してください。
まず確かめたいこと:1号と2号、どちらのルートか
特定技能1号には技能試験と日本語試験の両方が、2号にはより高度な技能試験と実務経験3年以上が必要です。それぞれ自動車整備士技能検定での代替や、技能実習からの移行による免除があり、年齢・国籍の受験資格も確認が必要です。
1号の対象者には、①技能および業務上必要な日本語の評価(本試験、または自動車整備士技能検定試験3級)と、②日常生活に必要な日本語の評価(国際交流基金日本語基礎テスト「JFT-Basic」、または日本語能力試験「JLPT」のN4以上)の両方が求められます。自動車整備職種・作業の第2号技能実習を良好に修了した方は①②が、職種を問わず第2号技能実習を良好に修了した方は②が、それぞれ免除になります。
2号の対象者は、本試験(2号評価試験)または自動車整備士技能検定試験2級に合格することが必要です。加えて2号には受験資格があります。試験日の前日において、認証工場における自動車の整備作業に関し3年以上の実務経験を有することとされています。転職などで1社分だけでは3年に満たない場合も、複数社の実務経験を累積して3年以上であればよく、自動車整備分野の技能実習の期間も実務経験に算入されます。
受験資格は1号・2号共通の部分もあります。試験日において17歳以上(西暦に基づいて計算)、インドネシア国籍の受験者は18歳以上であること。また、日本国籍を有する方は受験できません。資格を満たさない状態で受験すると、結果が合格でも無効となり、合格証明書も発行されないため注意が必要です。
なお、試験に合格することは特定技能として働くための要件のひとつであり、在留手続きそのものではありません。在留資格の詳細は出入国在留管理庁の案内をご確認ください。
出題範囲は、公式ページの記載では「自動車のシャシ、エンジンに関し」とされています。1号は初等知識レベルで、学科は構造・機能・取扱法、点検・修理・調整、整備用の試験機・計量器・工具、材料・燃料油脂の各科目です。実技は簡単な基本工作、分解・組立・点検・調整、簡単な修理、工具の取扱いが科目になります。2号は一般知識レベルとなり、完成検査の方法や保安基準などの法規が加わります。電気装置・空調装置・排出ガス対策装置などの項目を学習する場合も、公式の例題で出題のされ方を確認するのが確実です。
- 1号のルート:本試験+日本語試験(JFT-BasicまたはJLPT N4以上)。第2号技能実習の修了で免除がある
- 1号の代替:自動車整備士技能検定試験3級(日本語試験は別途必要)
- 2号のルート:2号評価試験、または自動車整備士技能検定試験2級
- 2号の受験資格:試験日の前日時点で認証工場での整備作業実務経験3年以上(複数社累積可、技能実習期間も算入)
- 共通の受験資格:試験日時点で17歳以上(インドネシア国籍は18歳以上)。日本国籍の方は受験不可
出典: 自動車整備分野特定技能評価試験(JASPA・一般社団法人日本自動車整備振興会連合会) — 試験の概要・受験料・受験資格・結果・合格証明書の各節
出題形式と合格基準:CBTでどう試されるか
試験はコンピュータによるCBT方式です。学科は1号が真偽法30問・60分、2号が四択法40問・80分。実技はどちらも図や状況設定から正しい判断を選ぶ「判断等試験」で、合格基準は1号が学科65%以上・実技60%以上、2号が学科60%以上・実技60%以上です。
CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)は、試験をコンピュータで受ける方式です。1号の学科は○×で答える真偽法、2号は4つの選択肢から選ぶ選択法が出題形式とされています。
実技試験は、実際の車両に触れる作業ではなく、図などを使った状況設定の中で正しい判別や判断を行う「判断等試験」です。どちらのレベルも3つの課題に複数の設問が設けられます。つまり、紙面・画面上の判断力が試される一方で、実際の整備作業の能力そのものは、職場での経験を通じて身につけるものです。この違いを理解した上で準備することが大切です。
合格基準は、1号が学科で正解数が出題数の65%以上、実技で得点合計が60%以上。2号は学科60%以上、実技60%以上です。合格発表は試験実施後30日以内を目途に、JASPAのウェブサイトで合格者のID番号として公表されます。試験問題の内容や正解に関する問い合わせには応じられないとされています。
| 項目 | 特定技能1号評価試験 | 特定技能2号評価試験 |
|---|---|---|
| 学科の出題形式 | 真偽法(○×式) | 選択法(四択式) |
| 学科の問題数・時間 | 30問・60分 | 40問・80分 |
| 実技の形式 | 判断等試験・3課題・20分 | 判断等試験・3課題・30分 |
| 学科の合格基準 | 正解数が出題数の65%以上 | 正解数が出題数の60%以上 |
| 実技の合格基準 | 得点合計60%以上 | 得点合計60%以上 |
出典: 自動車整備分野特定技能評価試験(JASPA・一般社団法人日本自動車整備振興会連合会) — 試験の概要・受験料・受験資格・結果・合格証明書の各節
実技(判断等試験)の対策:測定値と基準値を比べる
実技は、図や状況設定から正しい判断を選ぶ形式です。測定した値(事実)、与えられた基準(限度値)、そしてその比較から導く判断、の3つを区別できるようにすると、判断等試験の思考の型がつかめます。
判断等試験では、例えば測定結果の数値や点検場面の図が示され、「この状態は基準を満たしているか」「次にとるべき対応はどれか」を選ぶ流れになります。ここで大切なのは、測定値そのものと、合否の基準値を混同しないことです。測定値は「今そう読めた」という事実、基準値は「この範囲かどうかを判定するための限度」であり、両者を比べて初めて判断になります。
次の演習は、この考え方を確認するための自作問題です。基準値は演習用に与えた仮の値であり、実際の使用限度は車種ごとのメーカー基準などで定められます。この点を混ぜないようにしてください。
演習について
【演習1:厚みの測定値の判断】ある点検の練習問題で、仮想の点検用部品の厚みを測定しました。この演習では、使用限度の厚みは「22.0mm」とあらかじめ与えられているものとします。測定結果は次のとおりです。 ・部品A 内側:24.5mm/外側:23.0mm ・部品B 内側:21.8mm/外側:24.0mm この4か所のうち、演習で与えられた基準値を下回っている箇所はどこですか。また、その理由を数値で説明してください。
答えを見る
部品Bの内側(21.8mm)が基準値を下回っています。
判定は「測定値」と「基準値22.0mm」の単純な比較で行います。部品A内側24.5mm、部品A外側23.0mm、部品B外側24.0mmはいずれも22.0mm以上なので基準を満たします。一方、部品B内側は21.8mmで22.0mmより0.2mm小さく、与えられた基準を下回ります。実際の整備では使用限度の値は車種・メーカーの規格によるため、本演習の22.0mmはあくまで判断の手順を練習するための仮定値です。
出典: 自動車整備分野特定技能評価試験(JASPA・一般社団法人日本自動車整備振興会連合会) — 試験の概要・受験料・受験資格・結果・合格証明書の各節
学科の基礎力:電気の基本計算を解いてみる
学科は知識問題ですが、電気の基礎計算は状況判断の土台になります。ここでは前提を明示した自作の計算演習で、電流の大きさと「回路が開いた」状態の意味を確認します。
自動車の整備を学ぶ上で、電気の基礎は重要な土台です。試験の形式に合わせると、1号の真偽法では「この状態で電流は流れるか流れないか」のような判断、2号の四択法では数値を選ぶ形の問いも考えられます。まずは小さな計算を確実に解けるようにしておくと安心です。
次の演習はオームの法則が成り立つ理想的な直流回路を前提にした計算問題です。実車の回路や診断をそのまま表すものではありません。
演習について
【演習2:電流の計算】この演習では、電圧V、電流I、抵抗Rの間に「V = I × R」(オームの法則)が成り立つ直流回路を考えます。電圧12Vの電源に、抵抗6Ωが1つつながり、スイッチが閉じている理想的な回路があります。 問1:この回路を流れる電流I(A)を求めてください。 問2:スイッチが開いて回路が切れた(開放された)場合、流れる電流はいくらになりますか。
答えを見る
問1:2A。問2:0A(電流は流れません)。
問1は、I = V ÷ R = 12 ÷ 6 = 2 で電流は2Aです。問2では、回路が開放されると電流の通り道がなくなるため、電圧があっても電流は0Aになります。開放(電流が流れない状態)と閉じた回路(電流が流れる状態)の違いを、数値とともに説明できるようにしておきましょう。12V・6Ωという数値は演習用に与えた仮定です。
出典: 自動車整備分野特定技能評価試験(JASPA・一般社団法人日本自動車整備振興会連合会) — 試験の概要・受験料・受験資格・結果・合格証明書の各節
職場の安全基礎:一般教材で確認しておきたいポイント
整理・整頓などの職場の基本ルールや、作業に合った保護具の考え方は、整備の職場でも通用する基礎です。ここでは製造分野の学習用テキストに基づく一般的内容を、本試験の公式範囲ではないと明示した上で紹介します。
製造分野の特定技能1号評価試験用に公開されている学習用参考テキストには、職場で共通して使われる安全の基礎がまとめられています。例えば、使った道具は決まった場所に保管すること、機械に変な音・におい・振動などの異常を感じたら機械を止めて上司に報告し指示に従うこと、そして「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5Sを職場の基本ルールとして守ること、などです。報告・連絡・相談(ほうれんそう)を欠かさないことも、安全に作業を進める土台になります。
保護具については、作業によって危険が異なるため、作業に適したものを着用するよう求められています。具体例として、回転する工具で金属を加工する作業では、軍手が巻き込まれるおそれがあるため注意が必要だとされています。なお、この項の内容は自動車整備分野の公式出題範囲そのものではなく、一般の職場安全の基礎として位置付けてください。本試験の準備は、まず公式ページの範囲と例題を中心に進めるのが確実です。
演習について
【演習3:安全の○×ドリル】次の3問を○か×で答えてください(一般の職場安全の学習ドリルです)。 ① 回転するドリルで金属を加工するとき、軍手を着用したほうが安全である。 ② 使った道具は、決められた正しい場所に保管する。 ③ 機械から変な音や振動がしても、異常はないと自分で判断して作業を続ける。
答えを見る
①× ②○ ③×
①は×です。回転するドリルに軍手が巻き込まれるおそれのある作業では、軍手が危険要因になり得るため、作業に合った保護具の着用が原則です。②は○です。道具を決まった場所に戻すことは、探す時間をなくし、誰でも安全に作業できるための基本です。③は×です。変な音・におい・振動などの異常に気づいたら、機械を止めて上司に報告し、指示に従います。個人で判断して作業を続けると、状況が悪化したり本人が危険にさらされたりする可能性があります。
- 道具は使用後、決まった正しい場所に保管する
- 異常(変な音・におい・振動)に気づいたら機械を止めて上司に報告する
- 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)と報告・連絡・相談を職場の基本にする
- 保護具は作業に合ったものを選ぶ。回転工具の作業では軍手に注意
出典: 製造分野特定技能1号評価試験(機械金属加工区分)学習用参考テキスト — 第1章 試験の概要、第2章 安全衛生; 自動車整備分野特定技能評価試験(JASPA・一般社団法人日本自動車整備振興会連合会) — 試験の概要・受験料・受験資格・結果・合格証明書の各節
公式範囲と例題で学習を仕上げる
JASPAの公式ページで、受験する号の範囲と例題を確認します。このガイドの計算と判断練習は、整備分野の全範囲を置き換えるものではありません。
1号では、エンジンとシャシの構造・機能・取扱い、点検・修理・調整、工具や計量器、材料・燃料油脂などを学びます。分からなかった用語を整理し、公式の例題で知識を使えるか確かめてください。
図や数値の問題では、測定した事実、指定された限度値、そこから導く判断を分けます。実際の作業は車種ごとの資料と職場の指導に従い、紙上の問題を解けたことだけで作業を行えるとは考えないようにします。
申込み、日程、合格後の手続きは公式の最新案内で確認します。技能試験への合格だけで在留資格が認められるわけではありません。
- 1号と2号の形式を混同していない
- 測定値と指定された基準値を分けて比較できる
- 式の前提と単位を確認して計算できる
- 分からない点や異常を報告・確認できる
出典: 自動車整備分野特定技能評価試験(JASPA・一般社団法人日本自動車整備振興会連合会) — 試験の概要・受験料・受験資格・結果・合格証明書の各節
出典
事実確認:
