JFT-Basicは4セクション・約50問・60分のCBT方式のテストで、総合得点145点以上でA1以上、200点以上でA2.2(A2)と判定されます。対策の中心は、場面ごとに「理解すべき情報」と「話すべき表現」を整理し、掲示文や対話の中で依頼・許可・提案などの表現を正しく選ぶ練習を反復することです。
JFT-Basicが測るものと在留資格との関係
JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)は、主に就労のために来日する外国人が、日本の生活場面でコミュニケーションするために必要な日本語能力を測るテストです。在留資格「特定技能1号」「育成就労」「留学(日本語教育機関への入学)」の日本語能力水準を測るテストとして活用されています。
試験はコンピューター・ベースト・テスティング(CBT)方式で、テスト会場のブースにあるコンピューターの画面を見ながら、ヘッドフォンの音声を聞き、画面上で解答します。対象は日本語を母語としない外国人です。
この試験には、実際に話す面接や作文を提出する試験はありません。会話を声に出す練習は、表現を理解するための補助練習として使います。試験結果だけで在留資格が認められるわけではありません。
参照した公式資料: JFT-Basicとは | JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト — テストの目的・形式・構成・判定する水準・結果の通知; 国際交流基金日本語基礎テストに係る試験実施要領(令和8年7月改正) — 1 試験概要、3 試験水準、4 試験科目、5 合否の基準、8 その他必要事項
試験の形式、判定基準と結果の受け取り
試験は「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4セクションで構成され、約50問・試験時間は60分です。総合得点は10点から250点の範囲で、145点から174点はA1、175点から199点はA2.1、200点から250点はA2.2(A2)と判定されます。
セクションごとの解答制限時間はありません。同じセクション内であれば、いつでも見直しや再解答ができます。ただし、次のセクションに移動すると、前のセクションには戻れません。聴解セクションでは、前後の問題に移動しての見直しや再解答はできません。聴解の音声は、設問ごとに2回まで聞くことができます。
設問の説明文は英語で表示され、「Your Language」ボタンを押すと、英語・中国語・インドネシア語・ベトナム語・ネパール語など、対応する現地語でも読めます。出題される日本語そのものは、テストの言語です。
判定区分について、2026年7月まではA2.2(A2)のみを測るテストでしたが、2026年8月からはA1・A2.1も測定できるようになりました。145点未満の場合、判定結果は数字で示されず「*」と表示されます。
総合得点は正答数そのままの素点ではなく、等化と呼ばれる統計処理で算出された尺度得点です。テスト終了時に画面に総合得点と判定結果が表示され、受験後5営業日以内にPrometricのウェブサイトで正式な判定結果通知書が発行されます。セクションごとの正答率も参考情報として表示されます。
| セクション | おおよその問題数 | 測ること |
|---|---|---|
| 文字と語彙 | 約12問 | 生活場面の文字が読めるか、基本的な語彙を使えるか(語の意味・用法、漢字の読み・意味と用法) |
| 会話と表現 | 約12問 | 生活場面の会話の文脈に合った文法と表現を使えるか |
| 聴解 | 約12問 | 会話、店や公共機関でのやりとり、指示やアナウンスを聞いて理解できるか |
| 読解 | 約12問 | 短い手紙やメッセージを読んで理解できるか、看板や掲示から必要な情報を探せるか |
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読解の掲示文:「何をすればいいか」を30秒で特定する練習
読解学習は、全単語の翻訳ではなく「その場面で必要な行動」を読み取る訓練として組み立てます。配達通知、注意書き、案内文から、誰が・何を・いつまでに行うべきかを先に特定する練習を毎日行ってください。
生活の中の掲示物は、難しい語彙を知らなくても必要な行動が分かるように書かれています。見出しや太字、日付、電話番号、URLの位置を手がかりに構造を把握し、その後で未知の語を文脈から補う順番にすると、理解の速度と精度が安定します。読解の練習では「分からない単語に印をつける」よりも「答えるべき情報に印をつける」ことを先に行い、情報の位置取りを体で覚えることを優先してください。
具体的な例で確認します。不在連絡票に「お留守でしたので持ち帰りました。再配達のご希望は下記にご連絡ください。本日18時まで」とあり、学習者が「持ち帰りました」の「持」の字義を調べて時間を使ってしまったとします。より良い判断は、まず「再配達」「ご連絡」「18時まで」に線を引き、「自分は今日中に連絡する」という必要行動を確定することです。こうすれば「持ち帰りました」は物流側の動作だと文脈から推測でき、単語調査の優先度も下がります。
練習問題について
次の案内文を読んで、【問い1】【問い2】に答えてください。 「お知らせ:本館は給水設備の点検のため、本日の開館は午前10時から午後3時までです(通常は午後6時まで開館しています)。貸出中の本の返却は、閉館後でも入口横の返却ポストに入れることができます。」 【問い1】本日、窓口で本を返したい場合、遅くとも何時までに図書館に行く必要がありますか。 【問い2】午後5時に図書館へ着いた場合、本を返す方法はありますか。
解答を見る
【問い1】午後3時までに行く必要があります。【問い2】あります。入口横の返却ポストに本を入れて返却できます。
この案内文の要点は、「通常は午後6時まで」と「本日は午後3時まで」という対比です。普段の開館時間を先に頭に入れると、本日の変更を見落とします。返却したい人に必要な行動は「本日の閉館時刻までに窓口へ行く」なので、問い1の答えは午後3時です。問い2は、案内文の最後の文が閉館後の方法(返却ポスト)を示しているので、ポストに入れれば返却できます。掲示文では、変更情報と代替手段が文末に書かれることが多いため、最後まで読む習慣が点数を支えます。
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依頼・許可・提案:表現の機能で選ぶ練習
会話表現と文法の学習では、文として正しい形を増やす前に、依頼・許可・提案・申し出という機能ごとに形を整理します。相手との関係や場面に応じて、どの機能の形を選ぶかを判断する練習を対話形式で行ってください。
「〜てもいいですか」は許可を求め、「〜てくれますか」「〜てもらえますか」は依頼、「〜ませんか」は誘い、「〜ましょうか」は申し出というように、基本パターンは機能ごとにグループ化すると整理しやすくなります。混同が起きるのは、形が似ている「〜てもいいですか(許可)」と「〜てもらえますか(依頼)」です。許可は自分の行為について相手の同意を得る形、依頼は相手の行為をお願いする形であり、動作をするのが誰かに注目すれば判別できます。
日本語のやり取りでは、お願いの内容そのものより、相手に負担をかけることへの配慮をどの形で示すかが会話の滑らかさを左右します。同僚に荷物運びを頼むとき、「手伝ってください」と最短の形だけでも文法的には成立しますが、「お忙しいところすみませんが、ちょっと手伝ってもらえますか」と一言を添える方が自然に伝わります。機能別のグループ表を使い、例文を声に出して言い分けられるまで反復してください。
会話のやり取りを続けるためには、相づち・返答・質問返しの三つの型も用意しておくと安心です。相づちは「はい」「そうですか」「なるほど」のように相手の話に短く反応し、返答は「ありがとう」には「どういたしまして」、「すみません」には「大丈夫ですよ」という定番の組を作ります。質問返しの「〇〇さんはどうですか」を覚えておくと、自分の語彙が少なくてもやり取りを続けられます。
練習問題について
次の【1】【2】の場面で、( )に入れるのに最も適した表現を①②から一つ選んでください。 【1】あなたは、重い荷物を運ぶのを同僚に手伝ってほしいと思っています。同僚に言う表現として適切なのはどちらですか。 ① この荷物、運んでもいいですか。 ② この荷物、運んでもらえますか。 【2】あなたは、上司に課の共有ロッカーを一時的に使わせてほしいと思っています。上司に言う表現として適切なのはどちらですか。 ① このロッカー、使ってもいいですか。 ② このロッカー、使ってもらえますか。
解答を見る
【1】② 【2】①
判別の基準は「その動作をするのは誰か」です。【1】で荷物を運ぶ動作は同僚にしてほしいことなので、相手の行為をお願いする依頼の形②が適切です。①の「運んでもいいですか」は「私が運んでもよいか」という許可を求める形で、自分が運ぶことになるため、意図と合いません。【2】でロッカーを使うのはあなた自身なので、自分の行為について同意を得る許可の形①が適切です。②の「使ってもらえますか」は「上司にロッカーを使ってほしい」という意味になり、依頼したい内容とずれてしまいます。
| 表現の形 | 機能 | 使いどころ | 例文 |
|---|---|---|---|
| 〜てもいいですか | 許可を求める | 自分がしようとする動作への同意を得たいとき | ここに荷物を置いてもいいですか。 |
| 〜てくれますか/〜てもらえますか | 依頼 | 相手の動作をお願いしたいとき。依頼は丁寧さを添える | この書類をコピーしてもらえますか。 |
| 〜ませんか | 誘い・提案 | 相手を活動に招きたいとき | 昼ご一緒に食べませんか。 |
| 〜ましょうか | 申し出・提案 | 自分が手伝う・動くことを申し出るとき | 重いので持ちましょうか。 |
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自動詞と他動詞:「閉まっている」と「閉めてください」を見分ける
「ドアが閉まっています」はドアの状態、「ドアを閉めてください」は相手に求める動作を表します。閉まる・閉める、開く・開ける、入る・入れるを文の中で比べましょう。
「ドアが閉まっています」では、誰が閉めたかを述べず、今の状態を伝えています。「ドアを閉めてください」では、相手に閉める動作を頼んでいます。練習では、状態を伝える場面か、相手に行動してほしい場面かを先に確かめます。
「〜ている」は、動詞と文脈によって意味が変わります。「ドアが閉まっている」は結果の状態ですが、「雨が降っている」は続いている出来事です。自動詞と他動詞のペアがあるかどうかだけで、すべての「〜ている」の意味が決まるわけではありません。
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聴解:設問から場面を予測して聞く手順
聴解の練習は、音声を流す前に設問と選択肢から「誰と誰が・どこで・何の話か」を予測する手順として訓練します。試験では音声を設問ごとに2回まで聞けますが、答えた聴解の問題には戻れないため、聞く前に聞き取る点を決めておくことが重要です。
予測の具体的な手順は三段階です。まず設問文から話の場面(店、職場、道案内など)を仮定し、次に選択肢を見て聞くべき情報の種類(時間、場所、物の名前、行為の可否)を決め、最後に音声中のその情報の前後を集中して聞きます。1回目の再生で大枠をつかみ、2回目の再生であいまいな点を確認する、という使い分けも学習の目安になります。予測が外れても手順を続けることが、練習での重要な動作です。
もう一つの練習点は、話し手が言い直す場面への備えです。日常の会話では「あ、違った。木曜じゃなくて金曜でした」のように、先に言った内容を後に訂正することがあります。練習では、訂正を含む短い対話の書き起こし文を使い、「最終的に確定した情報はどれか」を答える課題にすると、聞き取りの焦点が「最後に言われたこと」に向きます。併せて、「〜ないでください」「〜ないほうがいいです」のような否定形と、「〜てもいいです」「〜てください」のような許可・依頼の聞き分けも、前節の機能グループと結びつけて確認してください。
練習問題について
※この練習は、実際の音声を聞く問題ではなく、書き起こし文を使った言語練習です。紙の上で対話を読み、設問に答えてください。 (場面:家電量販店の配達カウンターで) 店員「冷蔵庫のお届けは、来週の火曜日になりますが、よろしいですか。」 客「すみません、火曜は外出する予定があるので、水曜にしていただけますか。」 店員「承知しました。では、水曜の午後1時から4時の間にお届けします。」 【問い1】最終的に決まったお届け日はいつですか。 【問い2】客は最初に提示された内容の何を訂正しましたか。
解答を見る
【問い1】来週の水曜日(午後1時から4時の間)です。【問い2】お届け日を火曜日から水曜日に変更することを頼みました。
話し手が言い直す場面では、最後に確定した情報が正解になります。この対話では、店員が最初に火曜日を提示し、客が水曜への変更を頼み、店員が「承知しました。では、水曜の…」と確定しています。途中の火曜日はすでに取り消された情報なので、答えには使いません。聴解では、訂正の言葉(「すみません、…にしていただけますか」「では、…」)が出てきたら、その前後の時間や場所を特に集中して聞くのが効果的です。
参照した公式資料: JFT-Basicとは | JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト — テストの目的・形式・構成・判定する水準・結果の通知
文字と語彙:駅・病院・役所など「場所の看板」ごとに語を束ねる
文字と語彙は、五十音や品詞の順ではなく、駅・店・病院・役所といった場所ごとの看板語・案内語の束として覚えます。同じ場所で出会う語を一つのグループにまとめ、掲示文での確認を習慣にしてください。
場所ごとの束にすると、語同士の結びつきで記憶が安定します。駅なら「のりば・終電・通過・乗り換え」、病院なら「受付・診察・受診・薬」、役所なら「申請・手続き・窓口・届出」のように、その場所で実際に並ぶ語をまとめて扱います。「ガス・メーター」などのカタカナ語も、生活設備に関する語としてまとめます。単語カードには意味だけでなく「どの場面で見る語か」をタグとして書き込み、復習はタグ単位で行ってください。
語彙確認のミニ例題です。病院の案内に「受付は午前中のみです。初めて受診される方は窓口でお手続きをしてください」とあるとき、「受診」と「受付」を同じ「受」の漢字だからと同義に扱うのは誤りです。より良い判断は、「受付=受け付けるところ(窓口の機能)」「受診=医師の診察を受けること(患者の行為)」と、語が指す行為の主を区別することです。こうした区別ができると、「受付で受診の手続きをする」という組立ても正確になります。語彙練習の仕上げは、各場所の束から例文を三文自分で作り、その文が実際の場所の掲示に置き換え可能かを点検することです。
参照した公式資料: JFT-Basicとは | JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト — テストの目的・形式・構成・判定する水準・結果の通知
間違えた理由を記録して復習する
掲示文、表現、語彙、聴解を順に練習し、間違えた理由を記録します。必要な期間は、今の日本語力と学習時間に合わせて決めてください。
掲示文では変更された時刻、表現では動作をする人、聴解では最終的に決まった情報に注目します。答えだけを覚えず、本文のどの言葉が根拠かを説明してから、似た別の例に取り組みましょう。
音声を使う練習では、公式のサンプルや教材で実際に聞き取る練習も行います。この記事の書き起こし問題だけでは音を聞き分ける力は確認できません。申込みや会場については公式の最新案内を確認してください。
- 掲示文の変更点と必要な行動を説明できる
- 依頼と許可を、動作をする人に注目して区別できる
- 訂正のある対話から最終的な情報を選べる
- 実際の音声を使って聞き取りを練習している
参照した公式資料: JFT-Basicとは | JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト — テストの目的・形式・構成・判定する水準・結果の通知; 国際交流基金日本語基礎テストに係る試験実施要領(令和8年7月改正) — 1 試験概要、3 試験水準、4 試験科目、5 合否の基準、8 その他必要事項
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事実確認済み:
