ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験は、在留資格「ビルクリーニング特定技能1号」の取得に必要な試験です。現在はCBT(コンピュータを使う試験)で、学科試験20問・20分、実技試験30問・30分を毎回一緒に受け、どちらも満点の60%以上で合格です。出題範囲は「作業の段取り」から「資機材の整備」までの8つの業務です。この記事では、試験の形式と範囲を確認したうえで、床の道具選び・洗剤の希釈・トイレの工程という代表的な判断を例題で練習します。
試験の形式と合格基準を先に確認する
現在の試験はCBT方式で、学科試験(真偽・選択問題、20問、20分)と実技試験(真偽・選択・並べ替え問題、30問、30分)を毎回一緒に受けます。学科・実技のどちらも満点の60%以上が合格基準です。
CBTとは、テストセンターのパソコンに表示される問題をマウスで操作して解答する試験形式です。この試験のCBTはピアソン社に委託されて実施されます。実技試験といっても実際の清掃作業を行うのではなく、写真やイラストを使った判断問題を画面上で解きます。公式の訓練用動画の案内にも「CBTでは作業試験はありません」と明記されています。
学科試験は20問・配点40点、実技試験は30問・配点60点です。合格には「学科が満点の60%以上、かつ実技が満点の60%以上」という両方の基準が必要で、片方が高得点でももう片方が基準に届かなければ合格になりません。問題文は日本語で、漢字にはひらがなのルビが付きます。
試験時間は合計50分(学科20分+実技30分)です。実技には並べ替え問題があるため、手順の「順序」を問われる練習をしておくと有利です。この記事の後半でも、トイレ清掃の工程を並べ替える例題を用意しました。
| 試験名 | 問題形式 | 問題数 | 配点 | 時間 | 合格基準 |
|---|---|---|---|---|---|
| 学科試験 | 真偽・選択問題 | 20問 | 40点 | 20分 | 満点の60%以上 |
| 実技試験 | 真偽・選択・並べ替え問題 | 30問 | 60点 | 30分 | 満点の60%以上 |
出典について: ビルクリーニング特定技能1号評価試験 - 公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会 — 目的・受験資格・受験手数料・試験内容・学習・合格者の発表・合格証明書の発行; ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領(厚生労働省健康・生活衛生局) — 試験概要・試験水準・試験科目・合否の基準・別紙1(課題・配点方法)・別紙2(出題範囲)
出題範囲は8つの業務、求められる水準
試験科目は「作業の段取り」「器具の使用」「資材の使用」「機械の使用」「各部位の清掃」「各場所の清掃」「廃棄物処理作業」「資機材の整備」の8業務です。水準は、ビルクリーニング作業の技能実習2号修了相当とされています。
実施要領は、試験の水準を「場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、作業手順に基づき、自らの判断により、方法、洗剤および用具を適切に選択して清掃作業を遂行できるレベル」と定めています。つまり、手順を知っているだけでなく、目の前の床材と汚れに合わせて道具や洗剤を選べることが問われます。この記事の例題は、まさにこの判断を練習するためのものです。
出題範囲の別紙には、器具ならほうき・モップ・ダストクロス・スクイジー・作業標示板など23種類、機械なら真空掃除機・ポリッシャー・高圧洗浄機など7種類、部位別・場所別の清掃対象が項目ごとに列挙されています。各部位・各場所では「日常清掃作業が手際よくでき、及び定期清掃作業ができること」が確認事項です。網羅一覧は厚生労働省の実施要領(別紙2)で必ず一度通読してください。
- 作業の段取り:資機材の準備・片付け、什器や備品の移動と原状復帰
- 器具・資材・機械の使用:ほうき、モップ、ダストクロスから真空掃除機、ポリッシャー等まで、安全かつ適切に使えること
- 各部位・各場所の清掃:床面・壁面・立体面・什器備品・天井面/玄関ホール、事務室、トイレ、ごみ集積所など
- 廃棄物処理作業と資機材の整備:収集運搬、器具の手入れ、機械の点検・補修
出典について: ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領(厚生労働省健康・生活衛生局) — 試験概要・試験水準・試験科目・合否の基準・別紙1(課題・配点方法)・別紙2(出題範囲)
日常清掃と定期清掃の違いを整理する
日常清掃は毎日行いキレイを維持する清掃、定期清掃は定期的に行い、普段の清掃では除去できない汚れを取り除き建材を維持する清掃です。公式テキストはまずこの2つの違いから説明しています。
テキストの説明では、定期清掃で汚れをリセットし、日常清掃でキレイを長持ちさせるという関係です。試験でも「日常清掃作業が手際よくでき、及び定期清掃作業ができること」という形で両方が確認事項になっているため、どちらの作業かを見分ける視点を持っておくと問題に応用しやすくなります。
また、テキストは作業のタイミングへの配慮も教えています。エントランスや廊下の清掃はお客様の出勤時間を避ける、トイレの清掃はお客様の出社前に済ませておく、といった配慮です。清掃の技術に加えて、建物を使う人に迷惑をかけない工夫も学習対象になっています。
出典について: 全国ビルメンテナンス協会 特定技能1号評価試験 学習テキスト(2025年3月第2刷)— 公開ビューア閲覧ページ — 日常清掃と定期清掃/床清掃の資器材/トイレ清掃/床面清掃(床材の分類)/洗剤の知識; ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領(厚生労働省健康・生活衛生局) — 試験概要・試験水準・試験科目・合否の基準・別紙1(課題・配点方法)・別紙2(出題範囲)
床の清掃:床材と汚れで道具を選ぶ例題
床の清掃では、床材の種類と汚れの種類の両方を見て道具を選びます。公式テキストは、ツルツルした床の乾いたホコリや土砂の除去にはダストクロスや掃除機、水汚れにはモップを使うと示しています。
テキストは床材を主に5種類に分類しています。弾性床材(ビニル系、リノリウム系、ゴム系)、硬性床材(石材、陶磁器、コンクリート)、木質床材(フローリング、コルク)、カーペット床材(タイルカーペット、じゅうたん)、その他(塗り床、たたみ)です。そして「資器材は床材と汚れの種類によって使い分ける必要がある」と教えています。
まず、汚れの状態を「乾いた汚れか、水を含む汚れか」で見分ける練習から始めましょう。乾いたホコリや土砂は、水を使う前に先に除去するのが基本の流れです。次の例題で確認してください。
例題の使い方
次の2つの場面で、それぞれ最初に使うべき道具を教えてください。場面A:ツルツルした事務室の床に、乾いたホコリと外から持ち込まれた土砂が広がっています。場面B:別の通路の床にお茶の水こぼれがあります。選択肢は「ダストクロス」「掃除機」「モップ」です。
解答と理由
場面Aはダストクロスまたは掃除機、場面Bはモップです。
ツルツルした床の乾いたホコリや土砂の除去には、ダストクロスや掃除機を使うのがテキストの教えです。水汚れにはモップが対応します。場面Aで最初からモップや水を使うと、乾いた汚れが水で広がってしまいます。ポイントは「床材の種類」と「汚れが乾いているか湿っているか」の2つを見てから道具を選ぶことです。なお、これは学習用の基本例であり、実際の現場では勤務先の手順書や上司の指示に従ってください。
出典について: 全国ビルメンテナンス協会 特定技能1号評価試験 学習テキスト(2025年3月第2刷)— 公開ビューア閲覧ページ — 日常清掃と定期清掃/床清掃の資器材/トイレ清掃/床面清掃(床材の分類)/洗剤の知識
洗剤の種類の確認と安全管理、希釈の計算
洗剤は液性や用途が異なるため、製品の種類と使用する建材を確認します。業務用洗剤の取り扱いでは、テキストが示す手袋の使用に加え、製品ラベルの注意と勤務先の手順を確認しましょう。
公式テキストは、洗剤を液性別に分類して用途を一覧にしています。例えば分類表には、トイレクリーナー、床用中性洗剤、ハクリ剤、換気扇用洗剤、カビ取り剤などが液性ごとに並んでいます。テキストは「洗剤はとても危険だから取り扱い注意」「使用の際は必ず種類を確認してね」と繰り返し注意を促しています。液性と用途の対応は、テキストの分類表を使って自分で復唱できるようにしておきましょう。
液性の分類だけで、どの建材にも使用できるとは判断できません。手元の製品の用途、希釈表示、保護具、応急措置の記載を確認します。事故時の対応も自己判断せず、製品の安全情報と勤務先の緊急対応手順を確認してください。
洗剤を使う場面では、ラベルの希釈表示に従うことが基本です。次の例題で、希釈の割合を実際に計算してみましょう。
例題の使い方
仮定の例です。ある洗剤のラベルに「製品1に対して水49を加えて薄めて使うこと」と書かれてあり、このラベルの表示に従うものとします。合計で2L(2,000mL)の希釈液を作りたいとき、必要な製品の量と水の量はそれぞれいくらでしょうか。
解答と理由
製品40mL、水1,960mLです。
「製品1:水49」のとき、混合液全体は1+49=50の割合で構成されます。合計2,000mLを作るには、2,000÷50=40mLが製品にあたり、水は2,000−40=1,960mLです。注意:この「1対49」という割合はこの例題のための仮定のラベル表示であり、実際の洗剤の希釈比ではありません。実際に使うときは、手元の製品ラベルや安全データの表示どおりに量ります。濃度を「目分量」で調整しないことが、洗剤安全管理の基本です。
出典について: 全国ビルメンテナンス協会 特定技能1号評価試験 学習テキスト(2025年3月第2刷)— 公開ビューア閲覧ページ — 日常清掃と定期清掃/床清掃の資器材/トイレ清掃/床面清掃(床材の分類)/洗剤の知識
トイレ清掃:道具の分け方と工程の順序
トイレ清掃では、便器用の手袋とその他の手袋を分ける、トイレ用洗剤やフロアサインなど専用の資器材をそろえる、便器の清掃工程を「便器内の洗浄→外側の水拭き→外側の乾拭き」の順で行うことがテキストの教えです。
テキストが挙げるトイレ清掃の資器材には、ブラシ・ケース、仕切りバケツ、便器用手袋とその他の手袋、フロアサイン、タオル、トイレ用洗剤、モップ、養生マットなどがあります。手袋を便器用とその他に分けて使い分ける点がポイントです。フロアサイン(作業標示板)は出題範囲の器具リストにも含まれており、作業中であることを伝える道具として覚えておきましょう。
小便器の清掃では、人感センサーをタオルで覆ってから作業を始める、手袋は裾を折り返して垂れを防ぐといった手順が示されています。小便器の清掃工程は「①便器内の洗浄②便器外側の水拭き③人が触る場所(棚、人感センサー)の乾拭き」の3工程です。大便器も同じ考え方で、①便器内の洗浄②便器外側の水拭き③便器外側の乾拭き(①②は汚物が直接触れるところ、③は人が触る場所)と3つの工程に分けられます。次の例題で順序を確認しましょう。
例題の使い方
【指定手順を読むオリジナル練習】この職場の練習用手順は「便器内の洗浄→外側の水拭き→外側の乾拭き」です。作業記録には「内側の洗浄は完了。外側はまだ水拭きしていない」とあります。次に行う工程と、その後の工程を答えてください。
解答と理由
次は外側の水拭き、その後は外側の乾拭きです。
完了したのは最初の工程だけなので、指定された二番目の水拭きから進みます。まだ水拭きしていない段階で乾拭きを完了したことにはできません。この順序は提示された便器清掃の手順です。他の部位や作業へ一律に当てはめず、それぞれの手順書と用具の使い分けを確認します。
出典について: 全国ビルメンテナンス協会 特定技能1号評価試験 学習テキスト(2025年3月第2刷)— 公開ビューア閲覧ページ — 日常清掃と定期清掃/床清掃の資器材/トイレ清掃/床面清掃(床材の分類)/洗剤の知識; ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領(厚生労働省健康・生活衛生局) — 試験概要・試験水準・試験科目・合否の基準・別紙1(課題・配点方法)・別紙2(出題範囲)
公式テキストとサンプル問題で仕上げる学習
協会は公式の対策テキスト「目指せ!ビルクリーニング特定技能評価試験~学習テキスト~」(2025年3月1日第2刷)を日本語・英語・インドネシア語など11言語の電子ブックで提供し、試験問題サンプルとCBT体験、訓練用動画も公開しています。
まず協会のページから「試験の流れ・試験問題サンプル(PDF)」を開いて、問題の形式と長さを体で覚えてください。CBTの体験も用意されています。訓練用動画ではビルクリーニング作業の基本動作を映像で学べます。繰り返しますが、CBTでは実際の作業試験はありませんので、判断問題として解く練習が中心になります。
学習テキストは、日常清掃・定期清掃、ビルクリーニングの5原則、床・ガラス・トイレの清掃手順、廃棄物処理、衛生管理、清掃作業の安全などを章立てで説明しており、出題範囲の8業務に対応した内容になっています。母国語版がある場合は、まず母国語で理解してから日本語版で用語を覚える進め方が効率的です。網羅的な学習は、このテキストと厚生労働省の実施要領(別紙2の出題範囲)を参照してください。
勉強の進め方の一例(あくまで学習の目安であり、公式の要求ではありません)を チェックリスト にまとめます。
- ① 公式サンプル問題(PDF)を1回通して解き、形式と苦手分野を把握する
- ② 学習テキストで日常清掃と定期清掃、床材の5分類を理解する
- ③ 床材×汚れで道具を選ぶ判断を、身の回りの床で言い練習する
- ④ 洗剤の液性別の分類表をテキストで確認し、安全上の注意(保護具、ラベルと緊急対応手順の確認)を復唱できるようにする
- ⑤ トイレ清掃などの工程を並べ替えて、理由も言えるようにする
- ⑥ 実施要領別紙2の出題範囲を通読し、未学習の業務(機械の使用、廃棄物処理など)をテキストの該当章で埋める
出典について: ビルクリーニング特定技能1号評価試験 - 公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会 — 目的・受験資格・受験手数料・試験内容・学習・合格者の発表・合格証明書の発行; ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験実施要領(厚生労働省健康・生活衛生局) — 試験概要・試験水準・試験科目・合否の基準・別紙1(課題・配点方法)・別紙2(出題範囲)
出典について
事実確認:
