外食業分野特定技能1号評価試験は、OTAFFがコンピュータ形式(CBT)で実施し、試験時間は70分、合格は200点満点中130点以上です。このガイドでは、試験の位置づけと受験資格を確認したうえで、公式学習テキストの三分野(衛生管理・飲食物調理・接客全般)の押さえどころを、各分野の例題と一緒に解説します。試験に合格しても在留資格が自動的に得られるわけではない点も、あわせて確認します。
試験の位置づけと形式
この試験は、外食業分野の特定技能1号の在留資格を得るために必要な評価試験の一つで、OTAFFがコンピュータ形式(CBT)で実施します。
「特定技能」は、外食業など人手が足りない分野で、専門的な技能を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。外食業分野の特定技能1号の在留資格を得るには、この技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。技能試験の実施主体は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)です。
試験形式は、OTAFFの試験案内によると、学科試験と実技試験の二つの科目で、試験時間は70分、設問は三択です。問題は日本語で出題され、漢字にはルビが付いています。会場のコンピュータで問題が表示され、画面上で解答するCBT(Computer-Based Testing)方式です。
合格基準は200点満点中130点以上です。実技も画面で答える試験で、店舗で実際に調理や接客をする能力を、このガイドの問題だけで身につけられるわけではありません。
出典: 試験案内|外食業分野特定技能1号評価試験|OTAFF — https://otaff.or.jp/tokutei/gaisyoku-1/
衛生管理:三原則と交差汚染、HACCPの考え方
食中毒予防の基本は「つけない・ふやさない・やっつける」の三原則です。生食材からほかの食品へ菌を移さない工夫と、加熱・冷却の温度管理を中心に学びます。
食中毒予防の三原則は、菌を食品に「つけない」、保存条件を守って「ふやさない」、必要な加熱などで「やっつける」です。手洗い、器具の使い分け、決められた保管条件と加熱条件を組み合わせます。例えば、二枚貝や肉類については、中心温度75℃で1分以上加熱することが大切だと学習テキストに示されています。
場面でよく問われるのが交差汚染です。これは、生肉や生魚についていた菌が、まな板・包丁・手指などを介してほかの食品に移ることです。対策として、テキストは生肉や生魚をふたつきの容器に入れて冷蔵庫の一番下に保管すること、まな板や包丁を肉や魚など用途別に分けること、同じ器具を使う場合は使用のつど洗浄・消毒することを挙げています。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理では、メニューを「加熱しないもの」「加熱するもの」「加熱と冷却をくりかえすもの」に分けて学びます。工程ごとの重要な温度・時間などを確認し、決められた方法で記録します。加熱後も、保管や冷却の管理が不要になるわけではありません。
例題
【例題】あなたは仕込み担当です。生鶏肉を切ったあと、同じまな板と包丁を水道水で軽く洗っただけで、そのまま加熱しない生野菜サラダを切り始めました。(1)この状態の衛生上の問題を一つ、名前を挙げて説明してください。(2)安全に進めるための対応を二つ、日本語で書いてください。 この店舗の練習用手順は「汚染のおそれがある食品は提供せず、責任者へ報告する」とします。
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(1)交差汚染の危険です。生鶏肉の菌が、まな板や包丁を介して、加熱しないサラダへ移ったおそれがあります。(2)①作業を止め、影響を受けたサラダを提供せず責任者に報告します。②器具を用途別に分けるか、指定された洗浄・消毒を行ってから、責任者の指示に従って作業を再開します。
冷蔵するだけでは、すでに移った菌を取り除けません。まず影響した食品をそのまま提供しないことが必要です。そのうえで、器具の使い分けと洗浄・消毒を確認します。これは、問題文で指定された手順に沿って判断する練習です。
| グループ | メニューの例 | 管理の要点 |
|---|---|---|
| グループ1:加熱しないもの | 刺身、冷奴、生野菜サラダなど | 原材料と器具の汚染を防ぎ、定められた低温保管と提供の手順を守る |
| グループ2:加熱するもの | ステーキ、焼き魚、ハンバーグ、ごはんなど | 食品と工程に応じた中心温度と保持時間を確認する |
| グループ3:加熱と冷却をくりかえすもの | カレー、スープ、ソース、ポテトサラダなど | 加熱、冷却、保管、再加熱の各段階の指定条件を確認する |
飲食物調理:下処理と加熱の基本
下処理は「調理の準備作業」であり、洗浄・解凍・切り方の知識と、二次汚染を防ぐ作業の順序が中心です。加熱調理は、目的に合った方法と温度の目安を押さえます。
下処理とは、調理のための準備作業です。必要な分量を計算して材料を取り出し、洗浄し、食べやすい形に切る、下味をつける、といった作業を指します。テキストが重視しているのは、作業の進め方です。冷蔵・冷凍庫から出した材料は速やかに処理すること、冷凍品の解凍は冷蔵庫解凍や流水解凍が望ましいこと、下処理と盛り付けを同じ場所や同じ人が同時に行わないこと、などが挙げられています。
炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸すなどの方法は、使う熱の伝え方や仕上がりが異なります。例えば、茹でることと蒸すことでは、食材を湯に入れるか蒸気を利用するかが違います。実際の温度や時間は食材と工程に応じた手順で確認します。
分量を変える計算では、元の人数と新しい人数の比を確かめます。工程計画では、機器の容量と同時に処理できる量も確認しましょう。
例題
【例題】次の仮定に基づいて計算してください。あるレシピは4人分で、薄力粉を300g使います。(1)10人分を作るときに必要な薄力粉の量を求めてください。(2)この料理はオーブンで焼きます。オーブンには一度に5人分まで入れられ、1回焼くのに20分かかるとします。予熱、出し入れ、準備の時間はこの計算に含めず、焼成は1回ずつ連続して行います。10人分をすべて焼き上げるまでに、最短で合計何分かかりますか。
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(1)1人分の薄力粉は300g÷4=75gです。10人分は75g×10=750g。(2)10人分は5人分×2回なので、20分×2=40分かかります。
(1)は比例の計算です。4人分が300gなので、人数が2.5倍になれば必要量も2.5倍の750gになります。(2)は段取りの問題です。オーブンの収容人数を超える材料は同時に焼けないため、5人分ずつ2回に分けて焼きます。1回目と2回目を同時に行えない以上、20分が2回必要です。分量の計算は実際の店舗では店のルールに従いますが、この種の比例計算と段取りの考え方は、調理量の調整や仕込みの計画を理解する土台になります。
接客全般:言葉づかい、アレルギー対応、配慮
日本の接客では、あいさつ・お辞儀・正しい言葉づかいといった「型」が大切にされます。アレルギーや配慮が必要なお客様への対応は、推測で答えず確認する行動が基本です。
学習テキスト「接客全般」は、日本の接客サービスの特徴である「おもてなしの心」から始まり、あいさつ、笑顔、お辞儀(会釈約15度、敬礼約30度、最敬礼約45度)、トレイやグラスの持ち方といった基本動作を扱います。お客様に使う言葉には正しい形があり、たとえば「5,000円からお預かりします」ではなく「5,000円お預かりします」が正しい表現とされています。
アレルギーへの対応では、料理の原材料を正しく確認し、お客様へ正確な情報を伝えることが大切です。見た目だけで判断せず、レシピや原材料情報と責任者への確認を使います。確認できない場合は、そのことを伝えて対応を引き継ぎます。表示制度の品目数を覚えることだけで、個々のお客様への確認を済ませたことにはなりません。
配慮が必要なお客様への対応も学びます。日本の法律では、不特定多数の人が出入りする飲食店は、盲導犬・介助犬・聴導犬といった補助犬の同伴を受け入れることが義務付けられています。子ども連れ、高齢のお客様、車椅子を利用されるお客様など、それぞれの配慮のポイントを場面とともに整理しておきましょう。
例題
【例題】お客様が注文のときに「卵のアレルギーがあります。このパスタに卵は入っていますか」と尋ねました。あなたはこのパスタのレシピを正確に知りません。日本語の会話文を完成させてください。お客様への最初の一言と、そのあとにあなたが取る行動を含めて書いてください。
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会話の例──あなた:「申し訳ございません、確認いたしますので少々お待ちくださいませ。」そのあとの行動:店長や調理の責任者に卵の使用の有無を確認するか、店の原材料情報を確認してから、正確な内容をお客様にお伝えします。確認できない場合は、無理に答えず責任者に対応を引き継ぎます。
「大丈夫だと思います」と推測で答えるのは誤りです。学習テキスト「接客全般」は、間違った情報を提供するとお客様に大変な迷惑をかける場合があるため、原材料を正しく把握し、問い合わせに対応できない場合は対応できないことを伝えることが大切だと示しています。アレルギー対応では、正確な確認がお客様の安全に直結します。すぐに確認へ動く姿勢と、責任者への引き継ぎをセットで覚えておきましょう。
| 使いがちな表現 | 正しい接客表現 |
|---|---|
| お料理は以上でよろしかったでしょうか | お料理は以上でよろしいでしょうか |
| 5,000円からお預かりします | 5,000円お預かりします |
| 今、ないんです | 申し訳ございません。ただ今、きらせております。代わりに〇〇はいかがですか |
| 決まりました? | お決まりでございますか |
日本語試験と在留資格の関係
外食業分野の特定技能1号の在留資格には、この技能試験と日本語試験の両方の合格が必要です。在留資格の申請は出入国在留管理庁への相談・申請です。
案内によると、日本語試験には、国際交流基金が実施する「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」と、国際交流基金と日本国際教育支援協会が実施する「日本語能力試験(JLPT)」があります。技能試験と日本語試験の両方に合格することが、在留資格の前提になります。
同時に、試験の合格は在留資格そのものではありません。案内は、合格しても在留資格が必ずもらえるわけではないこと、在留資格認定証明書や在留資格変更の申請も必ず許可されるわけではないこと、ビザ(査証)は外務省が別に審査することを明記しています。在留資格の申請についての質問は、出入国在留管理庁に確認してください。
出典: 試験案内|外食業分野特定技能1号評価試験|OTAFF — https://otaff.or.jp/tokutei/gaisyoku-1/
学習の進め方と試験当日の注意
学習は、OTAFFが案内する公式学習テキストを軸に進めます。当日は本人確認書類以外の持ち込みができず、会場でメモ用紙と筆記用具(または電子パッド)が配られます。
学習テキストはOTAFFのサイトから、日本フードサービス協会のページに移動して入手できます。テキストは「衛生管理」「飲食物調理」「接客全般」の三分野で構成され、漢字にはルビが付いています。まず三分野を通読して自分の経験が薄い分野を見つけ、そこから重点的に学ぶのが現実的な進め方です。出題数や配点の内訳も、テキストの対応項目を参照するよう案内されています。
試験当日は、受付前に「試験当日の注意」を必ず確認し、必要なものを持参してください。持ってくるべきものがなければ受験できません。試験室に入る前に顔写真を撮影されます。試験室には本人確認書類以外の持ち物を持ち込めず、スマートフォン・筆記用具・腕時計・電卓を含むすべての荷物はロッカーに入れます。会場ではメモ用紙と筆記用具(または電子パッド)が配られ、パソコンの電卓も使えます。
体や服に文字や数字を書いて入室すると不正行為とみなされることがあります。不正行為があった場合は試験が中止され、場合によっては最大5年間受験できなくなることがあります。試験中に形式や内容に関する質問には答えられないため、パソコンの不調などがあるときは、その場ですぐに係員を呼んでください。
- 公式学習テキストの三分野を通読し、経験が薄い分野から重点的に学ぶ
- 衛生管理は三原則と交差汚染の対策、HACCPの三グループを場面で説明できるまで練習する
- 飲食物調理は下処理の順序と加熱方法の特徴・温度の目安を「なぜ」と一緒に覚える
- 接客全般は正しい言葉づかいとアレルギー・補助犬対応の確認行動を声に出して練習する
- 申込み・日程・会場はOTAFFの最新の試験案内で必ず確認する
出典: 試験案内|外食業分野特定技能1号評価試験|OTAFF — https://otaff.or.jp/tokutei/gaisyoku-1/; 学習テキスト|外食業分野特定技能1号評価試験|OTAFF — https://otaff.or.jp/tokutei/gaisyoku-1/materials/
出典
事実確認済み:
