林業技能測定試験は、特定技能1号「林業分野」の技能水準を判定する試験で、学科とチェーンソーを扱う実技で構成されます。2026年度の公式問題書には、組み立て・暖機運転・丸太の輪切り作成という実技の課題種別と、受験前の保護具・機材確認が示されています。この記事では試験の構成と安全確認の考え方を整理し、装備点検と材積計算の練習問題を通じて、紙の上で確認できる準備を示します。課題の寸法、時間、採点条件は受験時点の公式問題書で確認し、実際の機械操作は指導者のいる環境で訓練してください。
試験の位置づけ:技能と日本語、両方の水準が必要
特定技能1号「林業分野」の在留資格を得るには、技能水準と日本語能力水準の両方を満たす必要があります。技能水準はこの試験で、日本語能力は別の試験で判定されます。
林業分野の特定技能1号をめざす場合、技能水準は一般社団法人林業技能向上センターが実施する林業技能測定試験(林業分野特定技能1号評価試験)で判定されます。日本語能力水準は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または、国際交流基金と日本国際教育支援協会が実施する日本語能力試験(JLPT)で判定されます。
ただし、林業職種の技能実習2号を修了した人は、この技能試験を受ける必要がありません。自分がどちらの経路に当てはまるかを、準備の最初に確認してください。
注意したいのは、この試験に合格しても特定技能の在留資格が保証されるわけではない点です。在留資格の申請は別の手続きで、制度全般や申請については出入国在留管理庁・地方出入国在留管理局への問い合わせになります。
出典: 林業技能測定試験(林業分野特定技能1号評価試験)とは|一般社団法人林業技能向上センター — 試験概要ページ(受験の前提・携行品・教材案内)
試験の構成:学科と3種類の実技課題
試験は学科と実技で構成され、2026年度の公式問題書では実技に3種類の課題が示されています。課題の具体的な寸法、時間、採点条件は、受験時点の公式問題書を直接確認してください。
学科試験については、公式にサンプル問題と解答が公開されています。まずサンプルを解いて出題の雰囲気と自分の理解度を確かめ、誤答した分野を安全資料に戻って学ぶのが出発点になります。
2026年度の実技試験問題書には、チェーンソーの組み立て、暖機運転、丸太の輪切り作成という課題種別が示されています。問題書には課題ごとの条件、確認項目、失格・減点に関する記載もあるため、転載した数値の暗記ではなく、受験時点の公式問題書を通して確認してください。
紙の学習だけでは機械操作の訓練になりません。公式問題書で評価対象を把握したうえで、実際の操作は必ず指導者が監督する訓練環境で行ってください。この記事の演習は、判断力と知識を紙の上で確認するためのものです。
| 課題種別 | 学習時の確認点 |
|---|---|
| 組み立て | 必要な保護具・用具と確認項目を公式問題書で照合する |
| 暖機運転 | 禁止事項と評価条件を公式問題書で確認し、指導者の監督下で練習する |
| 丸太の輪切り作成 | 材料条件・作業条件・評価条件を受験時点の公式問題書で確認する |
出典: 林業技能測定試験(林業分野特定技能1号評価試験)とは|一般社団法人林業技能向上センター — 試験概要ページ(受験の前提・携行品・教材案内); 2026年度 林業技能測定試験 実技試験問題(公式問題書PDF) — 注意事項・課題内容・支給材料・保護具等一覧・失格要件
実技に向けた安全確認と監督付き訓練
実技の禁止事項や評価条件は公式問題書で確認し、機械操作は指導者が監督する環境で練習します。読んだだけで自己流の操作を試さないことが重要です。
公式の実技試験問題書には、機材の状態、保護具、始動・移動・運搬を含む評価条件と禁止事項が記載されています。受験者は要約だけに頼らず、最新版の問題書を最初から最後まで読み、分からない記載を指導者に確認してください。
訓練前には、使用する機材と保護具が訓練施設の基準に適合しているか、監督する指導者は誰か、異常時にどのように停止・退避・報告するかを確認します。機材に異常や不明点がある場合は操作せず、指導者または権限のある担当者へ報告します。
厚生労働省のガイドラインと公式問題書は、安全を学ぶための資料ですが、文章を読んだことだけで操作能力が得られるわけではありません。本記事ではチェーンソーの始動・切断・調整の詳しい操作手順を示しません。実技の準備は、法令と施設のルールに従った監督付き訓練として行ってください。
出典: 2026年度 林業技能測定試験 実技試験問題(公式問題書PDF) — 注意事項・課題内容・支給材料・保護具等一覧・失格要件; 令和4年度における林業の安全対策の推進について(厚生労働省通達・リーフレット・伐木ガイドライン等) — 伐木ガイドライン別添(受け口・立入禁止・かかり木処理・防護衣); 伐木作業・林業における安全対策|厚生労働省 — ガイドライン・通達の一覧ページ
持ち込み物:保護具と用具の基準を前日までに確認
保護具やチェーンソーには細かい適合基準があり、確認で一つでも基準を満たさないものがあれば、実技試験を実施できず不合格になります。
学科試験の携行品は、受験票、筆記用具、在留カード(パスポート)です。実技試験では、これに加えて保護具等と作業用具を、すべて受験者が用意します。試験開始前に確認を受け、一つでも基準を満たさないものがあれば試験を実施できず、実技試験は不合格となります。
保護具では、保護帽は飛来・落下用の告示に適合し型式認定を受けたもので、顎紐が付き、変色など経年劣化のないことが求められます。樹脂の種類に応じた交換の年数の目安も示されています。防護衣はJIS T8125-2:2022 class1以上などの表示があるもので、生地に切れ・裂け・穴の損傷や補修跡がないことが条件です。履物は規格表示のある安全靴か、金属製先しん付き安全靴と脚絆の併用で、地下足袋型では受験できません。手袋は防振・防寒に役立つ厚手のもので、皮膚が露出する破れや軍手は認められません(ただし組み立て作業に限り軍手も可)。
チェーンソーはエンジン式のロングハンドル機で、電動機やトップハンドル機は使えません。40cc以上の機体はチェーンソーの規格に適合したものを使用し、燃料を十分に補給しておきます。ガイドバー、ソーチェーン、ガイドバーカバー、工具類(コンビネーションレンチまたはプラグレンチ等)も持ち込みます。
確認項目は、保護帽の亀裂からチェーンブレーキの作動、ガイドバーの曲り、刃の摩耗まで多岐にわたります。全項目は公式の実技試験問題書に載っているので、自分の装備を一つずつ照合してください。
- 保護帽:告示適合・型式認定品、顎紐付き、亀裂なし、経年劣化なし
- 保護網(バイザー)か保護めがね、イヤマフか耳栓:破れ・亀裂なし
- 長袖の上着、皮膚が露出しない手袋(軍手は組み立て作業のみ可)
- 防護衣・安全靴:所定の規格表示 class1/Level1 以上、生地の損傷・補修跡なし
- チェーンソー:エンジン式ロングハンドル機、燃料補給、バー・チェーン・カバー・工具一式
出典: 林業技能測定試験(林業分野特定技能1号評価試験)とは|一般社団法人林業技能向上センター — 試験概要ページ(受験の前提・携行品・教材案内); 2026年度 林業技能測定試験 実技試験問題(公式問題書PDF) — 注意事項・課題内容・支給材料・保護具等一覧・失格要件
練習問題1:持ち込み装備の確認判断
装備の記述を読み、当日の確認で基準未達になる恐れがあるものとその理由を挙げ、対処まで考えます。
失格要件は項目ごとに判定のしかたが違います。たとえば保護帽の亀裂は部位や長さを問わず不可ですが、保護網は1cm以上の破れ、保護めがねやイヤマフは1cm以上の亀裂が不可とされるなど、基準の粒度が異なります。次の演習で、記述を読んで基準に照らす練習をしてみましょう。
練習問題
あなたは実技試験の前日に、自分の持ち込み装備を点検しています。次のA〜Dの記述のうち、試験当日の確認で基準を満たさないと判断される恐れがあるものをすべて挙げ、それぞれ理由と対処を答えなさい。 A. 保護帽は告示適合の型式認定品で、殻に亀裂は見られませんが、顎紐が付いていません。 B. 手袋は厚手の林業用ですが、手のひらが破れて皮膚が露出しています。 C. チェーンソーのフロントハンドガード(ブレーキレバー)に小さな亀裂があります。 D. 防護衣はJIS T8125-2:2022 class1以上の表示があり、生地に切れ・穴・補修跡はありません。
解答を表示
基準を満たさない恐れがあるのはA、B、Cです。Aは顎紐の有無が確認項目になっているため、Bは破れで皮膚が露出した手袋が認められないため、Cはフロントハンドガードの亀裂が少しでもあれば不可とされるためです。Dは、この設問に書かれた規格表示と生地の状態については不適合を示す事実がありません。ただし、この記述だけで防護衣の全確認項目への適合を保証することはできず、実物を公式一覧の全項目と照合する必要があります。対処として、AとBは適合する装備を用意し、Cは使用せず、販売店や権限のある整備担当へ報告して公式手順に従います。
実技試験では開始前に保護具等・作業用具の確認を受け、一つでも基準を満たさないものがあると試験を実施できず、実技試験は不合格となります。亀裂の扱いは部位ごとに異なり、顎紐も独立した確認項目です。Dから分かるのは、設問に明記された表示と生地の状態だけです。寸法、劣化、着用状態など記述されていない確認項目まで合格と推測してはいけません。観察できた事実、未確認事項、必要な報告・交換を分けて判断することが要点です。
出典: 2026年度 林業技能測定試験 実技試験問題(公式問題書PDF) — 注意事項・課題内容・支給材料・保護具等一覧・失格要件
練習問題2:円柱近似の材積計算
架空の数値で、直径と長さから材積を求める4段階の手順を確認します。
学科の学習や現場の資料では、丸太の材積を円柱に近い形とみなして概算することがあります。ここでは計算手順の確認として、架空の数値で練習します。実際の丸太は尻細りや節があり、素材の評価は別の規則に従うため、この計算値が実際の材の等級や評価を示すものではありません。
練習問題
練習問題(架空の数値です): 直径0.20m、長さ2.0mの丸太を円柱とみなし、円周率を3.14として材積(立方メートル)を求めなさい。節や尻太は無視します。
解答を表示
半径は 0.20÷2=0.10m。断面積は 3.14×0.10×0.10=0.0314平方メートル。材積は 0.0314×2.0=0.0628立方メートルです。
手順は、①直径を2で割って半径を出す、②断面積=円周率×半径の2乗、③円柱近似で断面積×長さ、④単位をメートルに統一、の4段階です。直径0.20mを半径として誤って使うと、3.14×0.20×0.20×2.0=0.2512立方メートルとなり、正しい値の4倍になります。計算の前に「半径=直径÷2」と単位を書く習慣をつけると、この誤りを防ぎやすくなります。
学科の準備:公式サンプルと厚生労働省のガイドライン
試験専用の教材は用意されていません。公式サンプル問題と、厚生労働省の既存の林業作業教材を組み合わせて学習します。
試験対策用の専用教材は準備されておらず、公式には、厚生労働省のチェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドラインなど、既存の林業作業教材の活用が案内されています。ガイドラインは、保護具等の選定と着用、チェーンソーの選定と取り扱い、作業前の準備、伐木・造材・かかり木処理の安全を項目立てて示した文書です。
たとえば、立木の伐倒では、その立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円形の内側に、伐倒作業に従事しない労働者を立ち入らせてはならないとされています。かかり木の処理では、かかられている木の伐倒や浴びせ倒しが禁止されています。こうした安全措置は、学科の知識としても、将来の現場でも前提になる考え方です。
ただし、ガイドラインを読むことは実際の作業能力の代わりにはなりません。伐木等の実務は、労働安全衛生法令に基づく安全衛生教育や、指導者のいる環境での訓練とセットで身につくものです。そのため本記事でも、実際の伐倒操作の手順は扱いません。学科の出題範囲の詳細は、本記事の資料では確認できないため、公式のサンプル問題で確認してください。
出典: 林業技能測定試験(林業分野特定技能1号評価試験)とは|一般社団法人林業技能向上センター — 試験概要ページ(受験の前提・携行品・教材案内); 令和4年度における林業の安全対策の推進について(厚生労働省通達・リーフレット・伐木ガイドライン等) — 伐木ガイドライン別添(受け口・立入禁止・かかり木処理・防護衣); 伐木作業・林業における安全対策|厚生労働省 — ガイドライン・通達の一覧ページ
受験までの次の一歩
公式サンプルを解き、装備を照合し、訓練環境を確保し、申込情報を公式サイトで確認する、という順番で準備を進めます。
装備の不備は、当日になって初めて分かっても手遅れです。公式問題書との照合は早めに行い、訓練と日本語試験の準備を並行して進めてください。
- 学科は公式公開のサンプル問題(問題と解答)を解き、間違えた項目をガイドラインに戻って確認する
- 実技の持ち込み装備を、公式問題書の保護具等・作業用具一覧と失格要件で一つずつ照合する
- 機械の取り扱いは、指導者のいる訓練環境で練習する(紙の学習では代替できません)
- 日本語能力水準は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験のスコアを確認する
- 申込方法・受験料・試験日程は本記事の資料では確認できないため、主催の林業技能向上センターの公式案内を確認する
出典: 林業技能測定試験(林業分野特定技能1号評価試験)とは|一般社団法人林業技能向上センター — 試験概要ページ(受験の前提・携行品・教材案内); 2026年度 林業技能測定試験 実技試験問題(公式問題書PDF) — 注意事項・課題内容・支給材料・保護具等一覧・失格要件
出典
事実確認:
