試験は全45問・60分のCBT方式で、学科40問(介護の基本10、こころとからだのしくみ6、コミュニケーション技術4、生活支援技術20)と判断形式の実技5問から成ります。合格基準は2026年4月1日から総得点の60%以上です。学習の軸は「手がかり→介助度→行動」の3段階です。①場面から本人が自力でできること、できないこと、今のリスクを抜き出す。②危険があれば安全確保を先にし、なければ本人の意思と残存能力を活かす介助度を選ぶ。③その介助度に合う言葉かけや手順を選ぶ。この型で各科目を読み直し、公式の学習テキストとサンプル問題で出題の形に慣れるのが準備の中心です。
試験のしくみ:45問・60分・CBT方式の構造
介護技能評価試験は、全45問・60分のコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式です。学科40問と、判断形式の実技5問で構成されます。
学科試験は4科目・40問です。問題数は「介護の基本」10問、「こころとからだのしくみ」6問、「コミュニケーション技術」4問、「生活支援技術」20問で、生活支援技術が学科の半分を占めます。学習の優先度を考えるとき、この配分がひとつの目安になります(数値は編集上の判断の材料であり、難易度の保証ではありません)。
実技試験は5問で、パソコン画面上で判断する形式の課題として出題されます。つまりこの試験では、実際に介助操作を行う場面はありません。ただし、紙の上の準備が現場での実務能力そのものを保証するわけではないこと、試験はあくまで知識と判断を確かめるものだと捉えておくと、学習の位置づけがぶれません。
技能評価試験は母国語(試験を実施する国の言語)で出題され、公式の学習テキストも各実施国の言語への翻訳が進められています。試験終了後には会場の画面に結果が表示され、試験後5営業日以内を目途に、専用ウェブサイトでスコアレポートを取得できます。
厚生労働省のページでは、問題数・時間・科目の構成に加えて、出題基準とサンプル問題が公開されています。学習を始める前に一度目を通すと、出題の形のイメージが持てます。
介護日本語評価試験と、JFT-BasicまたはJLPTなどの一般的な日本語試験は、この技能試験とは別です。必要な試験や免除の条件は公式案内で確認してください。技能試験への合格だけで在留資格が認められるわけではありません。
| 区分 | 科目 | 問題数 |
|---|---|---|
| 学科試験 | 介護の基本 | 10問 |
| 学科試験 | こころとからだのしくみ | 6問 |
| 学科試験 | コミュニケーション技術 | 4問 |
| 学科試験 | 生活支援技術 | 20問 |
| 実技試験 | 判断等試験等の形式による課題(CBT) | 5問 |
出典: 介護分野における特定技能外国人の受入れについて|厚生労働省 — 試験の概要・受験手続の案内; 介護分野の特定技能評価試験学習用テキスト 改訂2版(2025年3月) — はじめ・使い方・各パート
学習の軸:場面から「できること・できないこと・リスク」を抜き出す
介護の基本の中心は、生活の主体が利用者自身であるという考え方です。場面の手がかりを3点抜き出し、本人のできることを残す対応を組み立てる練習が学習の核になります。
公式の学習テキストでは、介護が必要でも生活の主体は利用者自身であり、介護職が自分の価値観で介護してはいけないと説明されています。自立とは、本人がどう生活したいかを選択し決定することです。支援では、身体動作だけでなく本人の持つ能力に合わせ、本人の意思や力でできることを増やします。
ここから、場面問題の解き方の軸が組み立てられます。①その場で本人が自力でできる動作、②自力では難しい動作とその理由、③今この瞬間のリスクの有無、の3点を先に抜き出す。リスクがあれば安全確保を先にし、なければ見守りや必要最小限の介助で本人のできることを残す。選択肢を消す前に、この3点を声に出して整理する習慣をつけると、判断の迷いが減ります。
次の演習で、この軸を実際に使ってみましょう。
演習
【前提】洗面台の前に、左片麻痺のある利用者Aさんが座っています。転倒などの安全上の問題は確認されていません。Aさんは顔を洗う動作を自分でできますが、高い棚にあるタオルだけに手が届きません。この場面で最も適切な対応を一つ選んでください。 ① 顔洗いも毎回職員が代わりに行う ② 本人の希望を確認してタオルを手の届く位置に整え、顔洗いは見守り、難しそうなときは声をかけて必要な部分だけ介助する ③ 時間短縮のため、Aさんの意思を確認せずに一気に済ませる ④ 安全上の問題がないことが確認できたので、それ以降は観察しない
解答を表示
②
生活の主体は利用者自身であり、介護職が自分の価値観で判断してはいけないというのが学習テキストの基本です。自立は本人が選択し決定することなので、できる動作は本人が行い、できない部分を支えます。①は残存能力を使う機会を奪い、③は自己決定を無視し、④は観察の機会を放棄する対応です。②は、届かないという具体的な手がかりだけを補い、顔洗いというできることを本人に残す、場面の条件に合った対応です。
コミュニケーション技術:傾聴・共感・受容を言葉の形で使う
傾聴は注意深く正確に話を聴くこと、共感は相手の気持ちを自分のこととして感じ取ること、受容は相手の気持ちや意見をそのまま受け入れることです。選択肢を言葉の形で判別できるようにします。
学習テキストでは、傾聴・共感・受容に加えて、目線を合わせること(上から見下ろすと威圧感を与える)、ゆっくり穏やかな口調で間をとること、うなずきや相づち、腕や脚を組まない姿勢が挙げられています。相手の話した言葉を繰り返すと「聴いています」というメッセージが伝わります。
質問の技法も出題の軸です。閉ざされた質問は「はい/いいえ」で答えられる質問で、続けると一方的なやりとりになります。開かれた質問は相手が自由に答えられる質問です。ただし「なぜ」と理由を尋ねる開かれた質問が続くと、相手が責められていると感じる場合があると注意書きがあります。たとえば「今日は入浴しますか?」は閉ざされた質問、「今日の入浴はどうしましょうか?」は開かれた質問です。この違いを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
状態に応じた方法も覚えます。視覚障害のある人には、必ず最初に名前を呼んで声をかけ、自分の名前を名乗り、物の位置は具体的な言葉で説明します。聴覚障害のある人には、表情や口の動きが見えるように前方から、ゆっくりはっきり話し、筆談や読話などの手段も使います。失語症のある人には短くわかりやすい言葉で、細かい言い間違いを指摘せず、「はい」「いいえ」で答えられる質問を使います。
認知症のある人との会話では、ゆっくり、わかりやすい言葉と短い文で伝え、相手の話す内容が事実と違っていても否定せず、そのまま受容して共感します。論理で正す対応がなぜ不安を強めるかを、一文で説明できるまで練習しておくと、場面問題で判断に迷いにくくなります。
生活支援技術と安全:観察・記録・感染対策の基本
生活支援技術は移動・食事・排泄・みじたく・入浴・家事の介護を含む、学科で最も問題数の多い科目です。観察に基づく安全確保と、事実を正確に残す記録が学習の柱になります。
学習テキストの生活支援技術の章は、移動・食事・排泄・みじたく・入浴と清潔保持・家事の介護で構成されています。移動は食事、排泄、入浴などすべての生活行為につながる動作で、ADL(日常生活動作)とIADL(手段的日常生活動作)という区別も押さえておきます。
事故防止では、移動・移乗が頻繁に行われる動作で事故が起こりやすいことが示され、利用者の状態を観察すること、服装や履物が適切か確認すること(スリッパは脱げやすく滑りやすい、ズボンの裾が長いとつまずきやすい)、福祉用具は使用前に点検すること、床が濡れていないかやコードの有無など環境を確認することが挙げられています。実際の移乗や用具の操作は、利用者の状態に応じた指導と施設の手順に従って学びます。
感染対策の基本は標準予防策です。血液・体液・排泄物などは感染の危険があるものとして扱い、素手で触れず手袋を使い、介護の後は手を洗います。手袋は1ケアごとに交換し、手洗いで汚れやすい部位は指先・指間・手の甲・親指のつけ根・手首です。発熱・嘔吐・下痢・発疹・顔色が悪いなどの状態が見られた場合は、医療職への報告が重要とされています。
記録の基本は、その日のうちに書くこと、日付と時刻を正確に記すこと、事実を記録することです。事実には、本人の訴えなどの主観的事実と、介護職が観察した客観的事実の区別があります。次の演習で、この区別を実際に書いて確認しましょう。
演習
【オリジナル記録練習】9月16日10時15分、利用者Dさんが「のどが渇きました」と話しました。あなたはDさんがコップの水90mLを飲んだのを確認しました。この場面以外の体調情報はありません。本人の言葉と観察した事実を区別して記録してください。また、この情報だけで「脱水症である」と書けるか答えてください。
解答を表示
本人の言葉:9月16日10時15分、Dさんより「のどが渇きました」との発言があった。観察した事実:同時刻、コップの水90mLを飲んだことを確認した。この情報だけで「脱水症である」と診断名を記載することはできません。
直接聞いた本人の訴えと、職員が見て確認したことを分けます。日時と量も明確に残します。問題にない症状や診断を加えず、必要な共有・報告は施設の手順に従います。これは記録の練習であり、水分摂取量の指示ではありません。
介護過程と職業倫理:身体拘束・虐待・医療行為の線引き
介護過程はアセスメント→計画作成→実施→評価の循環です。倫理では、身体拘束の禁止、虐待の5類型、プライバシーと秘密保持、医療行為は原則行えないという線引きを押さえます。
介護過程は、介護を実施するときの考え方のプロセスです。利用者に関する情報を集めて生活課題を分析するアセスメント、介護計画を作成する、計画に沿って実施する、目標達成度を評価する、という流れで、目的は利用者一人ひとりの望む生活の実現です。集めること(事実の収集)と読み解くこと(アセスメント)の区別を一文で説明できるようにしておくと、段階を問う問題に対応しやすくなります。
身体拘束は利用者の体の自由を奪う行為で、からだや手足を縛る、ベッドを柵で囲んで自力で下りられないようにする、部屋に鍵をかける、拘束帯で立ち上がれないようにする、向精神薬を過剰に飲ませる、などが例として挙げられます。身体能力の低下や認知症の悪化などの悪影響があるためです。虐待には身体的・心理的・介護等放棄(ネグレクト)・経済的・性的の5類型があり、介護職の人権侵害として押さえます。
倫理のほかの柱として、入浴や排泄の場面で肌を露出する利用者に恥ずかしい思いをさせないプライバシーへの配慮、利用者の情報を同意なく他の人に話さない・SNSに発信しない秘密保持があります。多職種連携では、医師や看護師は医療行為を行う専門職で、介護職は原則として医療行為を行えないという線引きも明確にされています。
最後に短いドリルで、安全確認の判断を確かめましょう。
演習
【前提】利用者Cさんのベッドから車いすへの移乗を、あなたが介助することになりました。転倒を防ぐため、移乗を始める前に確認すべきこととして最も適切なものを一つ選んでください。 ① Cさんの服装や履物が適切か(スリッパが脱げやすい、ズボンの裾が長いなど) ② 移乗をできるだけ早く終わらせる方法 ③ Cさんが好んで聴く音楽 ④ 家族への連絡先が変わっていないか
解答を表示
①
移動・移乗は生活の場面で頻繁に行われるため事故が起こりやすい動作とされ、利用者の状態を観察し、服装・履物が適切かを確認することが挙げられています。福祉用具は使用前に点検し、濡れた床やコードなど環境の確認も事故防止の基本です。②は安全確認を省略する方向の判断であり、③④は移乗の安全に直接関係しない情報です。
学習の進め方と公式資料の使い方
厚生労働省が公開している学習用テキスト(改訂2版)とサンプル問題が、準備の中心資料です。科目の配分に合わせて優先順位を決め、場面判断の練習を繰り返しましょう。
厚生労働省のサイトでは、試験に対応した公式の学習テキスト『介護分野の特定技能評価試験学習用テキスト』改訂2版(2025年3月)が公開されています。介護技能のパートは試験の4科目(介護の基本、こころとからだのしくみ、コミュニケーション技術、生活支援技術)に対応し、介護の日本語のパートは「ことば」「会話・声かけ」「文章」の問題で構成されています。ページには技能評価試験と日本語評価試験のサンプル問題もあります。
「こころとからだのしくみ」の学習範囲には、老化・障害・認知症の基礎的理解が含まれます。テキストの全文が本ガイドで扱う範囲を超えるため、疾病ごとの細かい内容は公式テキストの該当章で確認してください。認知症のある人とのコミュニケーションは前の節の「否定せず、受容して共感する」型が共通の土台になります。
学習の順序は編集上の提案です。学科で問題数の多い生活支援技術(20問)から始め、各場面で「環境と安全の確認→本人への説明と合意→動作→確認」という共通の流れを意識して読むと、手順の正誤判断がしやすくなります。次に介護の基本(10問)で原則の考え方を固め、コミュニケーション技術(4問)は言葉の形で、こころとからだのしくみ(6問)はテキストの該当章で仕上げる、という順が無理のない進め方です。期間は読者の生活に合わせて決めてかまいません。
最後のチェックリストです。すべてを説明できる状態なら、試験に向けた学習の土台は整っています。
- 45問・60分・CBT方式という試験の形を説明できる
- 生活支援技術20問を中心に、各科目の学習順序を自分で決められている
- 場面ごとに「できること・できないこと・リスク」を抜き出して対応を組み立てられる
- 本人の訴えと職員の観察を区別した記録が書ける
- 身体拘束の例と虐待の5類型を挙げられる
- 試験日程・会場・受験料の最新情報を公式ページで確認している
出典: 介護分野における特定技能外国人の受入れについて|厚生労働省 — 試験の概要・受験手続の案内; 介護分野の特定技能評価試験学習用テキスト 改訂2版(2025年3月) — はじめ・使い方・各パート
出典
事実確認済み:
